「生理中に婦人科の受診はできるの?」
「気になる症状があるけど、受診した方がいい?」
「婦人科って対象年齢はあるの?」
婦人科受診のタイミングって少し悩みますよね。
元婦人科看護師が、こんな時は受診してほしいものを医療用語をできるだけ使わずにわかりやすく解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
1.生理中は避けた方がいい婦人科の3つの検査

婦人科の受診を考えたときに、生理がぶつかりそうだと気になりますよね。検査によっては血が出ていると正確な結果がでないこともあるので、覚えておきましょう。
1-1.子宮頸がん検診

子宮を顔に例えると、
顔の部分を「子宮体部(しきゅうたいぶ)」
首の部分を「子宮頸部(しきゅうけいぶ)」といいます。
一般的に子宮がん検診といえば、子宮頸部のがん検診のことです。
子宮の入り口(頸部)の細胞を、歯間ブラシやアイスの木べらのようなものを使って取ります。
生理中に避けたほうがいい理由
正しい結果がでないことがあるからです
参考:公益財団法人 東京都予防医学協会 子宮がん検診
1-2.子宮体がん検診
子宮体部のがん検診は医師が必要と判断したときに、子宮頸がん検診と同時に行います。
子宮内膜の細胞をとる検査をします。
参考:公益財団法人 東京都予防医学協会
生理中は避けた方がいい理由
生理中は子宮の内膜がはがれ落ちているときなので、適切なサンプルがとれないからです
1-3.性感染症の検査
性感染症を疑ったときに検査することが多いものは以下の3つです。
- 尿検査
- おりもの検査
- 血液検査
※必要な時はうがい液検査も追加
生理中は避けた方がいい理由
尿やおりものに生理の血が混ざってしまうと、適切なサンプルがとれないからです。
※性感染症診断の採血は生理中でも問題ありません。
もし、検査の予約をしていて生理でも大丈夫かわからない時は、予約している病院に問い合わせてみると安心です。
2.【緊急度順】症状と考えられる病気

気になる症状があってリサーチしているあなたへ、受診してほしい症状を緊急度の高い順にお伝えします。
- ★★★ 今すぐに!命にかかわる
- ★★☆ できるだけ早く(1週間以内に)
- ★☆☆ 余裕のある時に一度受診してみよう
2-1.緊急で治療が必要な3選
緊急度★★★
すごくお腹が痛くなることが多いので直感的に受診する人が多いと思いますが、今すぐに病院へ!
①卵巣腫瘍(らんそうしゅよう)の茎捻転(けいねんてん)

卵巣の腫瘍(良性のことが多い)が大きくなって、なにかの拍子にねじれる病気です。破裂することもあります。
緊急で手術をしないと卵巣が壊死したり、重い感染症になり命の危険があります。今すぐ病院へ!
- 突然、信じられないくらいお腹が痛い
- 発汗
- 吐き気
臨時入院の患者さんで1番痛そうと言ってもいいぐらい、強い痛みがあります。今すぐ病院へ行きましょう!
②卵管妊娠(らんかんにんしん)

子宮外妊娠ともいいます。
95%くらいが卵管妊娠です。卵管で受精卵が育つと、破裂して大出血することがあり命の危険があります。今すぐ病院へ!
- 妊娠の心あたりがある
- 遅れて生理がきた(性器出血している)
- 突然お腹が痛い
③骨盤腹膜炎(こつばんふくまくえん)
原因はクラミジアや淋菌などの性感染症や、膣の炎症などが広がって、おなかの中にばい菌が増えている状態です。
膿がたまることもあります。重症になると命の危険があります。
- お腹が痛い
- 生理じゃないのに血が出る
- 熱が出る
- お腹が固い
- 脈が速い
- 手足が温かいor冷たい この3つは危険度★★★今すぐ病院へ!
2-2.がんが疑わしいもの
緊急度☆
早期の婦人科がんは自覚症状がないことがほとんどです。
自覚症状がでているということは、もしかして病気が進んでいるかもしれません。
①子宮頸がん(けいがん)・子宮体がん(たいがん)
子宮頸がんとは、子宮頸部(けいぶ)にできるがんです。子宮頸部とは、子宮の入り口の部分です。
子宮体がんとは、子宮の上の方の内側にできるがんのことです。
どちらも病気が進行すると、性器出血が一番多い症状です。
なぜ血が出るかというと、がんの血管は破れやすいからです。がんがあると、物理的な刺激で出血しやすいということです。がんが進行すると周りの血管に食い込んで血がでることもあります。
参考:MSDマニュアル 家庭版 がんの症状

- 閉経後や生理以外に性器から血が出る
- 性交渉の後に性器から血が出る
- 貧血の症状がある(健康診断で言われた、顔色が白っぽい、あっかんべーの目が白っぽい)
- おりものが変わったまま続いている(量が増えた、水っぽい、茶色い)
②卵巣がん・腹膜がん
卵巣は子宮の両サイドにくっついていますが、管のように中からつながっているわけではありません。
だから血は出ないのです。
子宮は膣を通じて体の外とつながっているので、直接細胞をとって検査することができますが、卵巣はこれができません。
卵巣がんを疑う場合は手術して細胞の検査をします。

- 体は太っていないのにお腹だけ出てきた
- おなかが張った感じ
- 便秘気味
がん以外の原因で性器から血が出たり、おなかに水が貯まったりすることもあります。
がんじゃないとわかれば何よりだし、がん以外の別の病気で治療が必要かもしれないので、一度受診してみてほしいところです。
婦人科がんの手術をした患者さんの研究では、症状が出てから受診までの期間が3か月以上の人が1番多く(42%)、病気が進行して抗がん剤治療が必要な人が多かったという結果が出ています。
病気を診断されることは怖いかもしれませんが、もっと早く受診しておけばよかったと後悔してほしくないです。
繰り返しになりますが、信頼できる人に相談してからでもいいので、できるだけ早く受診をおすすめします。
子宮頸がんステージⅠA(一番早くみつかったもの)では5年生存率が92%
引用:病気がみえる vol9 婦人科・乳腺外科 p.148
婦人科の診察がこわいという方も少なくありません。
怖さを少しでも和らげてほしいと思い、別の記事で診察の内容とリラックスするコツを紹介しています。婦人科受診が苦手な方は、ぜひお読みください。

2-3.性感染症が疑わしいもの
緊急度★★☆
性交渉の数日後~3週間くらいの間に症状が出てきた場合はなんらかの感染症の可能性があります。
性感染症で多いものトップ3と症状をお伝えします。
※クラミジアと淋菌はトップ2ですが、症状が似ているので1つの項目にまとめています
①クラミジア・淋菌
この2つは自覚症状がほとんどないことが多いです。
- 排尿時の違和感
- 少しお腹が痛い
- のどに感染した場合は首のリンパ節が腫れる
同じ感染症にかかると男性の方が症状が現れやすいので、性交渉をした相手の症状をみて、自分の感染を疑ってもいいと思います。
男性のクラミジア・淋菌の症状
・排尿痛
・排尿時の違和感
・性器から粘液のようなものが出る
問題は、不妊やお腹の炎症につながる可能性がある点です。
風邪のように気軽な病気ではないことを覚えておきましょう。
参考:NIID 国立感染症研究所
②性器ヘルペス
初めて感染した時に重症になることが多いです。痛くておしっこや歩くことも辛い場合は入院することもあります。
- 陰部の水ぶくれ
- 陰部のただれ
- 陰部の痛み
- 排尿が痛い
- 発熱
- 灰色やベージュのおりもの
2-4.婦人科の良性疾患かもしれない
緊急度★☆☆
良性疾患とは「がん」じゃないという意味です。つまり、必ず治療しないとならないものではありません。先ほども伝えた通り、生理痛が辛かったり貧血がひどかったりする場合に治療を検討します。
婦人科の良性疾患で多いもの4選をお伝えします。
①子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)
子宮筋腫とは、子宮に良性(悪性は0.5%)のできものができる病気です。女性ホルモン(エストロゲン)によって育つので、閉経後はしぼんでいくことが多いです。
- 生理の血が多い
- 強い生理痛
- 生理が長い
- 健康診断で貧血と言われた
②子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)
子宮以外の場所に、子宮内膜のような組織ができてしまう病気です。
生理の周期で子宮は壁が厚くなって、妊娠しなければ壁がはがれて生理の血となって出ていきますよね。
ところが、内膜症は生理のように出ていく場所がありません。生理の周期で厚くなって炎症を起こしたり、周りの壁とくっついたりします。
内膜症で多いのはダグラス窩(だぐらすか)と卵巣です。

- 生理痛
- 性交痛(膣の奥が痛い)
- 排便痛
卵巣にできる内膜症はチョコレートのう胞といって親しみやすい名前ですが、悪性(がん)に変わる可能性があり、全然かわいくありません。チョコレートのう胞も、定期的にみてもらうほうがいいです。
- 生理痛
- 生理以外でも腰痛
- 生理以外でも下腹部痛
驚くかもしれませんが、ダグラス窩の内膜症は重症化すると腸とくっついてしまい、まれに人工肛門が必要になる可能性があります。
良性と思っていたら腸を切ることになるなんて、とても辛いことです。
定期的に受診して内膜症の状況をみてもらうことを強くすすめます。
③卵巣腫瘍
先ほどもお伝えしましたが、卵巣腫瘍(しゅよう)の90%は良性です。
無症状がほとんどで、腫瘍が大きくなると物理的な圧迫により症状が現れます。20㎝以上になることも。
- お腹が苦しい
- お腹の上から丸い物が触れる
- 頻尿
- 便秘気味
④子宮脱(しきゅうだつ)
年齢を重ねることで子宮や膀胱などを支えている筋肉が弱くなって、下がってくる病気です。
下がってくるのは子宮だけじゃなく膀胱や直腸も出てくるので、病院では骨盤内臓器脱(こつばんないぞうきだつ)と言われるかもしれません。
- 膣に何かはさまっている感じがする
- 膣から何か出ている
- 日中頻尿になった
- おしっこがすっきり出ない、漏れる
- ショーツに粘液や血が付着する
排尿に支障がでることが多いのでとても困ると思います。ぜひ一度婦人科を受診してみることをすすめます。
あえて受診してほしいリストには入れていませんが、もちろん生理や更年期の辛い症状を相談するのはOKです。あなたの生活の質にかかわる大事なことです。我慢せずに相談してみましょう。
3.婦人科の対象年齢

婦人科受診に対象年齢はありません。子供から高齢者までOKです。
お子さんの陰部のかゆみや怪我、高齢の方の子宮脱など女性全員が対象です。
小学生になる前のお子さんの場合は、かかりつけの小児科で相談してからでもいいかもしれませんね。
ただ、検診には対象年齢があります。
3-1子宮頸がん検診2つの対象年齢
2つとも細胞をとる方法は同じで、どちらかを行います。細胞診が一般的ですが、お住まいの地域でどちらが対象か確認してみてくださいね。
料金も各自治体によって違うので、一緒に調べてみましょう。
①細胞診(さいぼうしん)
子宮頸部(しきゅうけいぶ)の細胞を歯間ブラシのようなもので取って検査します。
【対象年齢】20歳から
【受診の間隔】2年に1回
- 20歳以上で偶数年齢の人は1400円 ※70歳以上は無料
- 対象年齢ではない人(補助がない場合)5000~6000円
②HPV検査単独法(HPV=ヒトパピローマウイルス)
子宮頸がんの原因になるヒトパピローマウイルス(=HPV)がいるかどうか調べる検査。方法は細胞診と同じです。
2024年から一部の自治体で住民健診で可能になりました。
【対象年齢】30才~60才
【受診の間隔】検査の結果によって違う
①HPV検査陰性:5年に1回
②HPV検査陽性で細胞診異常なし:1年後
(ウイルスが陽性になった場合、残った検体で細胞診をするので再度受診する必要はないです)
検診前の膣内洗浄はウイルスや細菌が流れてしまうのでさけましょう。
参考:国立がん研究センター がん情報サービス
4.病院は産科より「婦人科」を選ぶ

受診したほうがよさそうな症状や病気がわかったところで、病院選びも重要です。
4-1.婦人科をおすすめする2つの理由
産科と婦人科の違いはなんとなく想像できるでしょうか?
産婦人科の主な3つのセクション
・産科はお産とその異常を扱う
・婦人科は子宮や卵巣の病気を中心に扱う
・不妊症などを扱う生殖部門(婦人科としていることが多い印象)
参考:病気がみえるvol9 婦人科・乳腺外科
①医師の強みが違うから
お産を中心にみている個人病院へ行くと、専門が少し違う場合があるからです。もちろん産科と婦人科両方の知識と経験のある医師はいらっしゃいますが、強みが違うという話です。
②産科の患者さんと会うのが辛いかもしれないから
婦人科の病気(特にがん)は女性としての自分を失うように感じる患者さんもいて、妊婦さんや赤ちゃんを見るのは辛い場合があるからです。
4-2.婦人科の探し方
産婦人科って、たくさんありますよね。個人病院の方が、総合病院より待ち時間が短いことが多いのはメリットなので、評判のいいところがあれば通院が楽だと思います。
①受診候補の病院の公式ホームページをチェック
あなたの気になる症状や病気を扱っているか調べてみましょう。医師のプロフィールがあれば、専門分野や経歴をみて婦人科が強い先生か見てみるのも良いと思います。
②口コミをチェック
スマートフォンなどで「〇〇病院 婦人科 口コミ」と検索してみましょう。
スタッフの対応の良さや、待ち時間、婦人科の病気を多く扱っているか書いてあればラッキーです。
③わからない場合は総合病院の産婦人科を選ぶ
総合病院の産婦人科は産科と婦人科の専門医がいることが多いです。もし病気がわかって治療することになった場合も、たいてい同じ病院で済むので楽です。
5.あなたの命を守るのはあなたです

命にかかわることは一刻も早く受診しましょう。
- 生理中に避けた方がいい検査は、子宮頸がん・子宮体がん検診と性感染症の検査
- 45歳以下の女性で急にお腹が痛くて受診=45%は産婦人科の病気
- 生理以外で性器からの出血や、おりものが変なとき、お腹だけが出てきたときは迷わず婦人科受診
- 良性の疾患でも不妊の原因になったり悪性に変わったりするので、あなどれない
- 排尿の悩みは泌尿器科じゃなくて、婦人科の臓器脱かもしれない
- 婦人科の受診は年齢制限がなく子どもから高齢者までOK
- 疑わしい症状がある場合は、できれば「産科」よりも「婦人科」を選ぼう
最後まで読んでくださりありがとうございます!
気になる症状と疑わしい病気に気づいたあなたが、勇気を出して受診できるといいなと心から願っています。
今後も婦人科関連の記事を書いていく予定です。ぜひ読んでいただけると嬉しいです(^^)/

